起業するにあたって、市場に存在するペインをいかに深く理解しているか、そしてユーザーに寄り添ったプロダクトを作るかがその後のビジネス成長に大きく影響を与える要素となります。

今回はご自身の原体験から起業している、Matcher株式会社 代表取締役CEOの西川さんに創業秘話を伺いました。

 


[Matcher株式会社]

「出会い方に革命を起こし、かけがえのない出会いを生み出し続ける」ことを目指し、
大学関係なくOB・OG訪問ができるマッチングサービス『Matcher』を開発・運営。リリース後4年間で学生12万人/社会人2万人が登録しており、累計マッチング数は40万件を越える。


 

自分の言葉によって、誰かの人生を前向きに後押ししたい

– 西川さんは新社会人として就職して早いタイミングで起業されていますよね?その時のことを教えてください。

高校時代に人生で初めて大きな挫折をし燻っていた時期がありました。そんな時に、友人にかけてもらった言葉によって、自身の人生が驚くほど前向きになった経験から、次は「自分の言葉によって誰かの人生を前向きにしたい」と考え、インターネット広告代理店に新卒入社しました。

しかし、いざ就職したものの、大きな組織の中で何かを実現するためには、当たり前ですがそれなりに規制がありスピード感も出ません。明日死んでも後悔無いように今日を生きられているのかと自問自答した時に、そうではなかったので、退職と同時に起業する意を決しました。

しかし、退職時に事業アイデアが決まっていたわけではなかったので、自身や周りの人が生きている中で感じる不満や怒りをノートに書き溜めては、どのようにすればそれらを解決出来るのかを書き足し、クオリティに高低はあれど70個ほどの事業アイデアが蓄えられました。

その中でも「自分でなくてはいけない理由」と「今でなくてはいけない理由」が最も強かった、OB・OG訪問ひいては新卒採用支援領域で起業することを決めました。

 

 

– 直前まで当事者だった領域ですね。どうしてそこに注目したのでしょうか?

まず「自分でなくてはいけない理由」で言うと、私自身が就活生だった時に、私が志望企業に抱いている印象と、実際に働いている社会人だからこそわかる実態の差分を知りたいと思って、OB・OG訪問をしようと思い、大学のキャリアセンターに足を運びました。

しかし、大学のキャリアセンターではOB・OGのリストを紙で管理しており、検索性が悪く、なかなか見つけられない上に、私の志望企業に勤めるOB・OGが2名しかいませんでした。しょうがないかと思いながらも2名の方に連絡してみたのですが、未だに返信はありません。(笑)

この時に、ワンクリックでもっと簡単に、大学関係なくOB・OG訪問が出来てもいいのではないかと考えました。

次に「今でなくてはいけない理由」ですが、当時はキュレーションメディアなどのSEOメディアやCGMが乱立し、インターネット上の流通情報量は年々増加していました。一方で消費情報量に関しては、微増程度。つまり、現代においては情報過多に陥っていました。

そこで今後は、情報発信者が誰であるのかという意味での「情報の質」を重視するようになるのではないかと考えました。こと新卒採用支援領域における情報収集者は就活生なので、就活生にとっての情報の見え方を整理し、最も「情報の質」が高いといえる情報発信者は誰なのかを定義しました。

嘘偽りなく精度の高い情報発信者は、採用することをミッションとしている人事・採用担当者ではなく、採用に関係のない実際に働いている社員なのではないかと仮説を立て、その方々に会えるプロダクトにしようと考えました。

 

徹底したユーザー志向、学生価値のみを考え抜いた

– いまMatcherさんが提供しているサービスのこだわりを教えてください。

プロダクト開発に着手するにあたって、信念として決めていることがありました。それは「先義後利」というもので、先に意味のあることをしていれば、後から利益はついてくるという言葉です。我々にとって「意味のあること = 学生のためになると心の底から言えること」と定義しています。そのため、たとえ儲かりそうな話があったとしても、それが学生のためになると心の底から言えないのならば、一切やらないと決めていました。

つまり我々が提供している事業、機能、施策、どれひとつとっても、全てに我々なりの「学生のためになると心の底から言える理由」が存在します。

例えば『Matcher OB・OG訪問機能』では、広告枠を設けないことで、学生にとって複雑さを回避し、目先の収益よりも利便性向上を優先していたり、登録したもののの社会人1名:学生1名で話すのは不安でなかなか第一歩を踏み出せていない学生に対しては、リクルートさんと業務提携を行い『まるっとOB・OG訪問』という社会人1名:学生n名で安心・安全を担保しつつ、話を聞けるリアルイベントを全国19都市で開催していたり、『Matcher スカウト機能』では、学生が自分一人で就職活動をしていては出会えなかったであろう、自分に合う企業と出会えたり………挙げるとキリがなくなくなるのでこの辺にしますが(笑)、兎に角、学生にとって本当に価値あるものを我々は勿論、Matcherをご利用いただいている社会人の皆さま、Matcherに関係してくださっている企業様と一緒に、想い同じくして作っていきたいと思っています。

 

幸せにすべきなのは、ユーザーだけじゃない

強いこだわりと展開のスピード感を感じます。それを実現するメンバーはどのように集まったのでしょう?

現在社員数8名なのですが、最初の4名は私のリファラル採用です。
創業時はコストを抑える為に、すべて自分でやれるようになるべきだと考え、幅広い職種の勉強に励んだのですが、早々にエンジニアリングの適性は一切ないと感じ、まず信頼できるエンジニアを採用することに決めました。そして前職の同期で、自分には無い良いものを沢山持っており、友人としても仲が良かった者を誘いました。その者は現在弊社取締役です。

他にも学生時代から共に事業を行っていた後輩をまずはインターン生として誘い、勢いそのままに新卒入社してくれていた者や、リクルートで輝かしい実績を残しており、奥様も居てマンション購入したばかりにも関わらず、年収を大幅に下げてまで中途入社してくれた者など、本当に個性豊かで心優しい素敵なメンバーに恵まれていて、毎日幸せです(笑)

社員やインターン生にとっても、同じように幸せであって欲しいので、当然適性があるのか否かや、組織都合で実現が難しいこともありますが、個人と対話しながら、彼・彼女らが自己実現できるような会社にしていきたいと思っています。

 

 

将来を吟味する手段をより身近に、よりリアルに

– 最後に、今後目指していることを教えてください

すべての学生が手を伸ばせば、住んでいる場所に関係なく同じように機会を得られる社会にしていきたいですね。利害関係の発生しない学生時代に、様々な社会人の、様々な価値観に触れることで自身の価値観を形成し、就職活動は勿論、人生選択をより良いものにしていくためのきっかけを作り出し続ける会社で在りたいと思っています。

そういう意味では国内に留まらず、グローバル。新卒採用支援に限らず、中途採用支援と多角的に事業展開していくことによって、1つでも多くのかけがえのない出会いを生み出せればなと思っています。

 

− お話いただきありがとうございました!