安心をもっとカジュアルに

安心をもっと身近に、多くの人に。ホームセキュリティを、もっと身近で誰もが気軽に利用できるようなものに変えたいという思いから、生まれたSecual(セキュアル)。

株式会社Secualは、セキュリティをリーズナブルかつスマートに提供することで、安心感のある自分らしい暮らしの実現を目指す会社です。

DGベンチャーズ(以下DGV)は2022年7月に株式会社Secualに出資しました。

 

代表取締役CEO菊池正和氏(以下:菊池)と出資担当DGV前川に話を伺いました。

 

―株式会社Secual創業のきっかけをお聞かせください。

菊池氏(以下:菊池):

日本におけるホームセキュリティーと言えば、SECOMとALSOKの認知度が高いですが、2社を合わせても200万世帯ほどと、日本の総世帯数5500万世帯に対して、5%にも満たない普及率しかありません。富裕層をターゲットにしたセキュリティーサービスなので、本来守られるべき女性の一人暮らしやご高齢者には手が届きづらいものでした。

サービスを開始した2015年当時、IoTというテクノロジーが出てきて、比較的安価に製品作りが出来るようになりました。

私たちが考えたのは、保障会社の警備員を駆けつけさせるのではなく、異常を知らせるというシンプルな機能に特化したセルフ型のセキュリティサービスです。

それなら月額1000円、初期費用1万円程度で誰でも安心を手に入れられる世界を提供できるはずだという思いで起業しました。

―ホームセキュリティの需要に地域の違いはあるのでしょうか。

菊池:

地域による差はほぼなく、北海道から沖縄までサービス需要はあります。

属性を分析すると、アパートで一人暮らしの女性、一戸建てにお住いの方、親が子供に送ってあげるケースなどが多くみられます。

また、子育て世代で新築を買われる方々にも導入をしていただいておりまして、この2つをメインターゲットとし、現在は、全国に我々のサービスをどう普及させていくかスケールを考えるフェーズに入っています。

 

―月額制のホームセキュリティーは競合も数社ありますよね。他社との違いを教えていただけますでしょうか。

菊池:

IoTサービスとして提供されている企業と比較すると、窓の開閉を検知するセンサーや、人の動きを検知するセンサーなど機能面では大きな差はないですが、セキュアルでは検知だけでなく、防犯機能ももたせています。外から見てもちゃんとセキュリティーが入ってると示したり、センサーが反応したらブザーで威嚇するなど、侵入犯に狙われづらい、狙われても追い払うことが可能です。その他にもセンサーが反応したら電気が付いたり音楽が鳴り始めるなど、様々な仕掛けを検討していますし、当社は警備業の認可も持っているので警備会社と提携して駆けつけサービスも提供することもできます。

セキュリティーとは、100%狙われなくすることは出来ないものの、狙われづらくするのと、狙われたときに5分以上侵入にかけさせるのが重要で、そのためにも音を鳴らせたり、ライトを光らせたり、侵入犯が一番嫌がる事をやるのですが、我々はIoTをそういうところにも使っています。

また、類似のセキュリティサービスを提供されている企業との一番大きな違いは、賃貸住宅や分譲戸建てエリア、分譲マンションのシステムと連携していることです。

大手のセキュリティ会社は、毎回担当者を呼んで契約書を書くなど煩わしさがネックでしたが、我々のサービスを管理会社側で入居時のオプションに組み込んでいただけば、都度の契約等々必要なく入居後すぐにセキュリティーが使えるようになります。

我々は管理業務に一切負荷をかけずにセキュリティーを広めていくというプラットフォームを持っているので、そこが他社との大きな違いだと考えています。

―BtoCのホームセキュリティーだけではなく、ディベロッパーや都市と組んでタウンセキュリティーやスマートハウス等にも参入されていますね。

菊池:

スマートシティとかタウンセキュリティーというのは、新しい市場なのでどちらかというと我々がリーダーシップを持って作っていかないといけない市場だと思っています。

ホームセキュリティーは一軒一軒を守る、しかし、一軒一軒を繋げたら町内になって、それを束ねたら都市になる。

であれば、自分達でディベロッパーと組んで、安心安全な新しい街づくりというキーワードの下でやり遂げていこうと、そういう自然な流れで始まっています。

コミュニティを守るということを考えた時、「スマートポール」を発案して、思い切って作って立ててみた。当時はまだ世の中で誰も商標化していませんでしたが、その後スマートポールというキーワードが注目を浴び始めてきて、現在スマートシティの普及とともに、スケールを広げていっています。

 

―具体的にスマートポールはどのような仕事をするのでしょうか。

菊池:

主な役割はカメラを使ったセンシング、ご高齢者やお子様の見守り、また気象庁との情報とも連動しているので気象的な異常事態が予測された場合はアラームでお知らせするなど、防犯・防災・見守りを備えています。

同時に、街の景観を彩るという意味で、ポールにイルミネーション機能を追加していますので、街のイベントと合わせてキラキラさせたり、広告を配信するビーコン配信機能も備えていて、アプリと連動させてスタンプラリーをしたりなど、地域のコミュニティ構築にも貢献しています。

また、人流解析をしてどういう人の流れがあるかなどのデータを取得提供するようなマーケティング要素も自治体を中心にニーズが高いです。

 

―DGVでの出資の経緯を教えてください。

DGV前川氏(以下:前川):

セキュアルは、近未来における“あるべき街の姿”を具現されているなと思いました。

セキュアルはセキュリティーを入り口として、マンションの入居者と接点をもつ一つのデバイスだと考えていまして、セキュアルに投資することで、我々の投資先とも協業できるし、積水化学等のディベロッパーが開発していく都市プロジェクトにも入り込んでおり、着実な成長が期待できると考えました。

菊池:

弊社は1棟契約が多く、家賃・管理費とかに組み込まれるので解約がない。そういう安定性が高いのも出資していただけた理由の一つかなと思います。

 

前川:

1000円程度であれば管理費の中で収まる金額ですし、居住者との接点を持てるチャンスでもあるので、サービスの付加価値として、不動産系の投資先などにも紹介して具体的にいくつか協業を始めていただいています。

以前の不動産業界は “自前主義”でしたが、最近は自分で開発しなくても他と組んでやれば良いという考え方の下、スタートアップ同士が手を組むことが多くなりました。

面白い会社に投資をして、業界を超えて、投資先同士が一体になっていいシナジーが生まれればいいなと考えていますね。

 

―御社として今後実現されていきたいことを教えてください。

菊池:

我々が実現したい街づくりには我々だけではできないことがたくさんあり、協業企業とのマッチングなどは株主や出資者の方々のご協力があって成り立っていますので、みなさまにきちんと恩恵をお返しできる座組みを組めればと思っています。

また、サービスを通して、居住者の日常行動に関するさまざまなデータが取れてきていて、こういうデータってもしかするとDGさんに持ち込むと何か面白い結果が出てくるのでは、と予感しています。

入居から退去までの一連のオペレーションが電子化される中で、管理会社や不動産会社に選んでいただけるようなサービスを提供していきたい。

弊社の強みの1つは、入居者の行動データを収集できるという点だと考えており、そのデータを分析し、DGとともに利活用できればと思っています。

―今後の事業展開は、データを生かしたビジネスが主軸になりそうですね。

菊池:

やっぱり必然的に導入が増えてくれば出てくるデータなので、それを活かすことでビジネスはもちろん、ご高齢者の見守りで活用するなど、社会貢献できるようになるなとの思いがありますね。

また、元々の事業であるセキュリティー導入を検討いただける企業が大手も含めようやく決まり始めて、年間数万個単位で増えていく予想が立っているので、そこでIDのストックを貯めていくということも今後の注力の一つです。

さらに、今後2~3年でスマートポールが再開発事業とともに、色々な場所にインストールされていく世界を作っていくこと。そのために今の機能だけじゃなくて、その先を見越した機能とサービスを考え続けていきたいし具現化していきたいと思っています。

 

―今後DGVに期待することはございますか。

 DGCも含めて、不動産業界に強く、自治体の案件等を担当されているかたもいらっしゃるので、グループ全体で相乗効果として、僕らみたいな投資先を巻き込んでもらえればと思っております。大変期待値は高いです。今後もよろしくお願いいたします。

 

―こちらこそ、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。