2019.11.21

秘められた経済ポテンシャル、ユニコーンが続出する背景とは 〜ブラジル視察レポート〜

開放的で情熱的で、ディープな世界を彷彿とさせるブラジルですが、じつはビジネスの伸長性に期待して注目度が高まっているというのはご存知ですか?

今回そんな期待の地ブラジルにて、現地ベンチャーキャピタルであるブラジル・ベンチャー・キャピタル(以下BVC)主宰イベント「第2回 ブラジル・ジャパン・スタートアップ・フォーラム 2019」への登壇のため、DG Venturesメンバーが現地訪問・視察してきました!

 

なぜDGベンチャーズがブラジルへ?

このブログを読まれている方にはご存知の方もそうでない方もいらっしゃると思いますが、私たちDGベンチャーズは海外企業の投資を積極的に推進しています。

その数は過去含めて約200社ほど。対象地域もUS・アジアだけでなく、欧州・中東・アフリカなど多岐に渡ります。

今回のブラジル訪問も、BVCからのイベント招待がきっかけですが、今後のDGベンチャーズの投資可能性、そして日本のスタートアップの海外展開の可能性を検証すべきと考えたうえ足を伸ばしました。

 

わずかな期間でユニコーン企業を生み出すポテンシャル

じつはブラジルにはすでにスタートアップが業界全体で急成長しており、短期間で大きな成果をあげユニコーン企業として名を知らしめているプレイヤーが複数存在しています。

現時点では決済を中心とするFintech、ライドシェアなどのMaaSなどインフラとなるサービスが多く、先進国の「タイムマシンモデル」が多い印象です。

今回のイベントでも、日本からはDGベンチャーズの他Cyber Agent Venturesなどのベンチャーキャピタルや数社のスタートアップ企業、ブラジルからはベンチャーキャピタル3社とFintech、農業、ドローンなどのスタートアップ企業、人数にしておよそ合計40〜50名ほどが参加しており活況でした。

 

では、なぜブラジルはビジネス界でこのように注目を集めるほどに成長が著しいのでしょうか?

 

①今後も増加見込みの約2.1億人の人口

ブラジルは世界5位の人口数としても知られています。その数およそ2.1億人。また人口分布としても10代後半〜30代全般の層がもっとも厚いです。

単純に市場としての規模が大きく、また一定の労働人口層の増加も期待されます。

国際貿易投資研究所 世界各国の人口(上位60)参照:http://www.iti.or.jp/stat/4-005.pdf
参照:世界のピラミッド(1950〜2100) https://www.populationpyramid.net/ja/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB/2019/

 

②国をあげた金融動向の活性化とFintechの台頭経済成長を目指した環境整備の広がり

ブラジルでは2017年時点で総人口中15歳以上の銀行口座保有率は2011年の56%から2017年には70%へ上昇しており、口座を持っているうちクレジットカードの保有比率は同時期で29%から27%に低下しているもののデビットカードの保有比率41%から59%に上昇しています。

参照:ブラジル連邦共和国 http://www.yu-cho-f.jp/wp-content/uploads/Brazil-1.pdf

 

また、首都のサンパウロでは高層ビルが立ち並び、東京の大手町付近のような様相を呈しています。インターネット回線も4Gが安定しており、ビジネス環境としてのインフラは十分整っていると言えます。

実際にインターネット利用率も総人口において2000 年では2.9%だったのが 2017 年には 67%まで増加しており、モバイル決済社会の普及を後押ししています。実際に、モバイルバンキングやインターネットバンキングを合計したデジタルチャネル経由での銀行の取引は 61%と過半数を占めます。

メンバー撮影写真

これらは治安が影響する貨幣を用いた直接取引への不安が反映されている結果とも言えます。

 

③ベンチャーキャピタルマネーの急増で起業のハードルが下がっている

上記の追い風もあり、近年の日本の投資環境と同じように、ベンチャー企業への積極的な投資活動がブラジルでも起きています。

例えば近年ソフトバンクによるラテンアメリカ市場に特化したテクノロジーファンド「Softbank Innovation Fund」も登場しており、大手企業からの出資も集まりつつあります。

そのほかにも法整備も進んでいるため、例えばFintech関連のスタートアップ企業は 2018 年 5 月時点で377 社と中南米地域において最多の数となっているのです。

 

日本のスタートアップにとって勝負ができる環境なのか?

結論から言えば「YES」と考えています。相性の良いテーマを選択すれば、日本だからこその強みを生かすチャンスは十分にあるのではないでしょうか。

例えば農業というテーマ。今回、GPSを用いたトラクター向けナビゲーションアプリを提供する農業情報設計社のブラジル展開状況も視察してきたのですが、現地での評価も高くサービスが定着している様子が伺えました。

ブラジルでは農業を投資効率的に捉える傾向があり、最終的な収穫量を最大化させるためのサービスを積極的に取り入れるニーズが根強い状況です。だからこそ、農業情報設計社のような作業効率に貢献し、また信頼の高い日本の技術が反映されたプロダクトは人気があるのです。

 

またそれ以外にも、もっとも伸張しているのは社会基盤として支えるサービスが多いため、教育やヘルスケア、生活基盤が整えられた先にはエンターテイメントなどのC向けビジネスも進出余地があるように思います。

 

可能性に溢れる国ブラジル、引き続き注目です

このように、他の新興国と比較しても経済ポテンシャルへの期待が大きいブラジル。スタートアップが解決しうる課題もあり、スタートアップという業界としては魅力的な国でした。

DGベンチャーズとしても今後ウォッチしていきます。


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